天空茶会 第二十三葉 各茶席のご紹介

 1つの茶席で2種類のお茶+簡単な茶菓子付き

  ※2024年11月30日に開催いたしました※

  ※次回イベントは2025年6月下旬の開催予定です※

 

茶席1. 冬凪 ふゆなぎ

■東方美人茶 とうほうびじんちゃ <烏龍茶・蜜香系>

 淹れ手:渡邉誠

東方美人茶はウンカという小さい昆虫の食害により商品にならなかった茶葉を製茶したところ、その美味しさで19世紀末にヨーロッパで人気が出始めたお茶です。

ウンカの食害を受けた茶葉から何故美味しいお茶ができるのか?どんな味なのか?その秘密を知りたくて台湾の新竹県峨眉郷で入手したお茶を皆様に呈茶いたします。

美味しさの秘密の一つに、ウンカの食害により傷ついた茶葉が、修復防御反応の過程で香りの成分を蓄積させることが挙げられます。

お茶を口に含むと、甘い蜜のような芳香が口全体に広がり、リラックスした気分になります。

この香りと味を言葉で正確に伝えるのは難しいため、ぜひ、茶席へお越しいただき東方美人茶をお愉しみください。

 ■浮梁茶 ふりょうちゃ <緑茶>

 淹れ手:佐藤正夫

製茶:2024年春

産地:江西省景徳鎮市浮梁県

「浮梁(ふりょう)茶」は、江西省景徳鎮市浮梁県で作られている歴史ある緑茶です。香り・味・姿・水色など、釜炒り緑茶の良き特徴が楽しめます。水色は薄く細身の姿から主張の少ない緑茶と思いがちですが、豆香も心地よく、煎を重ねると口中に甘味が蓄積され、癒し効果が高まります。景徳鎮市は安徽省祁門県と接しており、祁門紅茶や黄山毛峰などの茶所にも近い土地柄です。

浮梁茶の話は、唐代の詩人白居易(白楽天)の漢詩「琵琶行」の中にも詠まれています。現代の景徳鎮市は陶磁器の名産地ですが、詩が詠まれた唐代元和十年(815年)、浮梁茶はすでに有名だったようです。


茶席2. 馥郁 ふくいく

■鳳凰単欉 ほうおうたんそう <烏龍茶・単欉系>

   第1回・第2回 烏崬東方紅 うーどんとうほうこう

 第3回・第4回 烏崬八仙    うーどんはっせん

 淹れ手:まゆりん

烏崬東方紅 製茶:2021年春

烏崬八仙 製茶:2022年春

鳳凰単欉は、中国の広東省を代表する烏龍茶です。鳳凰単欉は花や果実などの香りを有しており、その種類は40種類以上と言われています。

烏崬山は鳳凰山脈一帯の中でも標高が1,000m以上ある茶産地で、鳳凰単欉の母樹や樹齢100年以上の古樹も多く存在しており、良質の鳳凰単欉が作られています。

今回は烏崬山で作られた2種類の単欉をご用意することが出来ました。

1〜2回目の茶席では「烏崬東方紅」というクチナシを思わせる気品ある香りが特徴の鳳凰単欉をご用意しています。

3〜4回目の茶席では「烏崬八仙」という芝蘭香系の香りが特徴の鳳凰単欉をお煎れします。 

鳳凰単欉特有の香りの馥郁を皆様にぜひ味わっていただきたいです。

■台湾日月潭紅茶 紅玉 たいわんにちげつたんこうちゃ こうぎょく <紅茶・台湾>

 淹れ手:羊茶

製茶:2023年

紅玉は台湾を代表する紅茶です。台湾の日月潭で栽培される紅玉は台湾紅茶独特の風味に加えて、ハッカやシナモンなどの爽やかな香りを有しており、飽きのこない紅茶です。

今回の茶葉は今年の6月に台湾の紅茶荘園で求めてきました。初代は台湾紅茶の父と呼ばれた新井耕吉郎の元で製茶技術を学び、現在は二代目が職人精神や製茶技術を引き継ぎつつ、新しいスタイルを作り出すことを心がけている荘園です。

自然栽培にこだわり、丁寧に作られている滋味あふれる紅茶をぜひ皆様に味わっていただければと存じます。

煎を重ねるごとの香りや味わいの変化を感じて楽しむことも中国茶席の醍醐味であると思います。

『馥郁』の茶席で、皆様と一期一会のお茶をご一緒できるのを楽しみにしております。


茶席3. 霜夜 そうや

■大雪山野生白茶 だいせつざんやせいはくちゃ <白茶・散茶>

 淹れ手:村上伊都子

製茶:2024年散茶 

中国雲南省臨滄市の永徳大雪山に自生する野生の茶樹から作られた白茶。野生茶とは人の手のかかっていない山に自生するお茶のことを言います。今回の白茶は標高2800mほどの高山に生育し、3〜7mの茶樹から茶摘みをすることからその作業も大変で1日の収穫量も少ない珍しいお茶です。

透明感のある黄緑色の水色に柑橘系のすっきりとした香りがハッと目が覚めるような驚きを与えてくれます。煎を重ねるごとに深みを増していく味わいは正に自然の恵みをすべて吸収したかのような奥深さがあり、心地よい軽やかな甘味と共に柔らかな余韻を残します。

■武夷岩茶 春閨 ぶいがんちゃ しゅんけい <烏龍茶・岩茶系>

 淹れ手:山川幸代

 福建省北部、武夷山を中心に作られる烏龍茶を武夷岩茶といいます。奇岩連なる武夷山には数多くの茶樹が育ち、古くから茶が作られてきました。今回はその中から新しい品種の春閨をお淹れします。新しい品種のためまだあまり知られておらず、武夷でも作っている農家は少数です。新品種308号、別名を春帰とも呼ばれます。

キンモクセイに喩えられる穏やかな花のような香りと、口当たりやさしいまろやかな風味が特徴です。口中に広がるやわらかな香気をぜひお楽しみください。霜夜のお席でお待ちしております。


茶席4. 茶愉 ちゃゆ

■凍頂烏龍茶 とうちょううーろんちゃ  <烏龍茶・凍頂系>

 淹れ手:平井まり

産地:台湾南投県鹿谷郷

台湾の南投県鹿谷郷で、海抜600m~800mで栽培されている烏龍茶です。中焙煎なので渋みが無くとても甘みがあります。マイルドで喉のかわきがいえるさっぱりさがあり、でも洋ナシのようなフルーティな甘さが、口の中で広がります。もう一杯味わいたくなる、飲みやすいお茶です。是非その出会いを愉しんでくださいませ。

■水蜜桃野生茶 すいみつとうやせいちゃ <紅茶・大陸>

 淹れ手:茶米

産地:福建省寧徳

福建省の北東部に位置する豊かな自然環境で育った茶葉を使って作られた希少な紅茶です。

発酵過程で自然に生成された桃のようなフルーティな香りとやさしい甘みが特徴のこのお茶は、身体にすっと入っていくような喉ごしで芳醇な味わいです。

自然の恵みに溢れた一杯はまさに甘露。

いわゆる野生茶特有の力強さはなく、とてもまろやかな口当たりでずっと飲んでいたくなります。

木々の葉が落ち冬めく頃、ぜひこの紅茶を愉しみながら温まってください。


茶席5. 紅翠 こうすい

■翠峰高山茶 すいほうこうざんちゃ <烏龍茶・高山系>

 淹れ手:河野求実子

台湾南投県の山間部、標高1600メートル~1800メートルの高地で作られた烏龍茶です。

深い甘みを持ち、馥郁とした味わいと甘い芳醇な味わいが特徴です。

日毎に寒さがつのり、冬の訪れを感じる季節。

ご一緒に愉しんでいただければ幸いです。

■頂級紅烏龍 ちょうきゅうべにうーろん <烏龍茶・紅烏龍系>

 淹れ手:國枝ゆか

紅烏龍は2008年に台湾で発表された新しいタイプの烏龍茶で、製茶工程はいわば烏龍茶と紅茶のハイブリット式。いまでは台東県鹿野鄉を代表する烏龍茶となり、その人気は年々高まっているようです。

今回は鹿野鄉のなかでも「紅烏龍皇后」と評される茶園が手掛けた「頂級紅烏龍」を用意しました。茶師が丁寧に厳選したという茶葉を用いており、蜂蜜のように濃厚な甘い香りが印象的です。

ぜひ味わっていただきたいこの一杯、心を込めてお出しします。


茶席6. 星霜 せいそう

■福鼎大白茶 月餅茶 ふくていだいはくちゃ げっぺいちゃ <白茶・緊圧茶>

 淹れ手:原泉

産地:福建省福鼎

白茶はお茶の中でも2000年以上と非常に長い歴史を持つお茶です。

「一年為茶、三年為藥、七年為寶」

(1年目は茶、3年で薬、7年経った白茶は宝)

年月を経て熟成した白茶を、中国ではこんな言葉で表します。

茶葉内の酵素を壊していないため、経年変化を楽しめる白茶は、黒茶と同様に新茶よりも年月を経たお茶の価値が高いとされます。

経年変化によってカフェイン量が減り、甘み成分が増えた白茶は、味や香りは柔らかく、茶葉の持つ甘さがより引き出されるように変化していきます。

舌で感じるというよりは口いっぱいと喉と鼻腔で感じる茶。2018年の茶葉はどのような味になっているでしょうか。

つかの間、過去に想いを馳せる「時の旅」は如何でしょうか。

【星霜】茶席でお待ちしております。

■野生古樹普洱熟茶 やせいこじゅぷーあるじゅくちゃ <黒茶>

 淹れ手:胡優

製茶:2000年

産地:雲南省勐海県

黒茶の中でも特に中国を代表するお茶ともいわれる普洱茶(プーアル茶)。茶葉に含まれる酵素の働きによって味や成分が成長していくことから、時間(年月)が経つほどうまみが増すといわれています。年代物の普洱茶の価値は高く、近年資産や投資としても注目を集めています。

普洱茶の名産地、雲南省勐海県で2000年に生産された【野生古樹普洱熟茶】をご用意しました。良質な普洱茶ならではの芳醇な香りとまろやかな口当たり。体の中からホッと温まるこれからの季節にぴったりの普洱茶を、24年の歳月に思いを馳せながらどうぞご賞味ください。